浜松・西区沿岸部の公示地価 津波想定域内外で明暗

◆上昇率は雄踏、下落率は舞阪が1位

※以下中日新聞「2019地価公示」より
住宅地で上昇率がトップだった浜松市西区雄踏1の調査地点付近。津波による浸水想定区域外で人気が回復傾向にある

 国土交通省が十九日発表した二〇一九年の公示地価(一月一日時点)で、浜松市西区雄踏一の調査地点が住宅地で県内一位の上昇率(6・3%)となった。沿岸部に近く、東日本大震災以降は防災の不安から下落が続いていたが、近年は上昇傾向。調査を担当した不動産鑑定士は「防災情報が周知され、買い手が冷静に判断するようになった」と分析する。

雄踏一は、雄踏街道を南に入った閑静な住宅街。養鰻(ようまん)池を埋め立てるなどして二〇一〇年五月に区画整理が完了した。近くには大型ショッピングセンターのほか、ホームセンターやスーパー、区役所もあり、利便性は高い。

区画整理直後は人気の住宅地だったが、一一年に東日本大震災が発生すると一変。「地盤が弱いのでは」という根拠のないうわさや、津波被害を恐れる声が上がり、一三年の調査では下落率が8・8%と大きく落ち込んだ。

 しかし、同年に県が公表した第四次地震被害想定では、津波による浸水の想定区域外となり、地価は一六年から上昇に転じた。地価調査で県幹事を務めた不動産鑑定士の松島芳知さんは「売り物件が少なく価格は上向き。ただ、上昇というよりも、従来の水準へ回復してきたという感じだ」と分析する。

西区の津波の浸水想定区域はおおむね東海道新幹線以南に集中し、雄踏一は北側に位置する。一方、南側の西区舞阪町舞阪は今回、住宅地で県内最大の下落率5・8%を記録。5・7%で二位だった西区馬郡町とともに浸水想定区域内にある。

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