昨年、宅建協会が主催する研修会で「所有者不明土地・建物への対処法」をテーマとしたセミナーに参加しました。このセミナーの案内を受けたときに、待ってましたと言う気持ちでした。講師は立川正雄弁護士で多くの実績を残されている方で、私も「不動産権利調整の実務・担保不動産仲介の実務」等の専門書をバイブルとして活用しています。
さて、世の中が高齢社会となり、不動産所有者にもその影響が表れ権利移転を伴う際には、意思能力等の確認も大変重要になっています。そのような高齢社会と少子化も影響してか、不動産登記簿に表示されている所在地には、所有者名義人が行方不明で生死も相続人も所在もわからない案件にあたる場合があります。そこで、今回のセミナーは、所有者不明土地・建物の解消に向けた民法の改正された点に着目し実例をもって対処法を示していただきました。
普段、実務を行っていて諦めていたことが可能になった事項を紹介いたします。①上記で説明しました環境にある案件で、急ぎ敷地境界確認する必要のある場合、R5.4.1施行日以降、隣地に立ち入って境界標を確認したり境界測量が可能になりました。今回の改正では、「承諾請求」ではなく、「隣地使用権」という法律構成をとったため、承諾を求める裁判をしなくても立ち入る事ができるとの解釈の様です。しかし、現実的には隣地所有者が、立ち入りを妨害することも想定されるため、あらかじめ裁判で「妨害禁止」の命令を取り、強制執行で妨害を排除して立ち入らなれればならない様で、隣地所有者等が立ち入りを拒否した場合は、実力行使はできないとの事でした。 一歩進みましたがすんなりいきませんね!
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